学会長ご挨拶
そこで本学会のテーマは、OTの未来共創を掲げました。多種多様な考えや立場、世代を超えたOTが作業療法について「共に考え」ること、また「共に創る」には本質を見つめ直すための原点回帰をしながら新しいものに発展していきたいという意味を込めました。目の前に控えた2025年問題に始まる超少子高齢化社会、掲げられる地域共生社会、未知のウィルスや災害など我々の想定を超えるリアルに対してOTの社会における現在地(存在意義)と未来の在りたい姿(社会から必要とされる存在)を共に考え、学会を通してイメージを共有してもらえたらと考えています。そのための特別講演では、村井千賀先生(石川県立こころの病院)を講師に迎え、日本作業療法士協会常務理事や精神保健福祉、高齢者と認知症、地域包括ケアなど専門領域の視点から我々がOTの未来について共に考え、共に創るためのヒントや道しるべとなる講演を依頼しています。
また、世の中のニーズやテクノロジーの進化、コンプライアンスなど時流がどんなに変わってもOTは「その人らしさ(多様な価値観)」を探求し、尊重し、寄り添う姿勢から作業療法を展開していく手法は今も昔も分野を問わず変わらない共通の本質です。そのことを再確認すると共に新しい知識や技術の追加は新たなステージで実践できるOTの可能性や存在価値を見出し、社会から必要とされる存在になれるのではないかという思いを副題に込めました。そこでシンポジウムでは近年注目を浴びている「eスポーツ」について行政(富山県)、民間企業(株式会社ZORGE)、作業療法士(田中 栄一氏 北海道医療センター)の立場からの講演とディスカッションを予定しています。この新しい活動と参加の分野における作業療法としての可能性を共に考えてほしいと思います。
教育・技術講座では明日から使える知識、技術を持ち帰るとして2講座企画しています。当日は2月で積雪や感染症の流行など参加自体が消極的になる時期ではありますが口述、ポスター発表に12題のエントリーがありました。当日は活発な意見交換を楽しみにしています。
本学会運営では「多様性の尊重」、「新しい学会の形の模索」をテーマに様々な角度から本学会の目指す姿を検討してきました。現地+Web配信によるハイブリッド開催はコロナ禍に生まれた新しい学会参加の形であり今回も取り入れています。一方で現地参加の魅力を発揮するため、ポスター発表の復活、eスポーツ体験会、そして個人的に一番の押し企画としてミニマルシェを企画しています。当日はお弁当やスイーツ、創作体験でホッとくつろげる場を企画しており子育て世代のOTがお子さん連れで少しでも参加できないかと考えました。
また本学会は一般公開としました。内向きの学会から外向きの学会とすることで医療や福祉関係者だけでなく、我々が普段対象としている地域住民の方達やOTを目指す学生の普及にも一翼を担いたいとの思いがあり作業療法の魅力を発信できればいいなと思っています。富山県学会ではやはり県士会員同士のつながりも目的の一つです、会場では職場や分野の垣根を超えた交流が新たなつながりを呼び富山県士会の絆を深めてほしいと思います。
タイトなスケジュールに運営委員のやりたいを詰め込んだ、学ぶだけじゃない楽しめる学会を企画しましたので是非たくさんの県士会員の方に参加していただきたいと思っています。
最後に学会長に選任して頂いた富山県作業療法士会とコロナ禍でも学会開催を継続しWEB環境等の手法を構築され今回引き継いでくださった、第20回東海北陸作業療法学会、第20回富山県作業療法学会運営委員の皆様に心より感謝申し上げます。