学会長挨拶
学会長 護摩堂 秀之助(富山リハビリテーション医療福祉大学校)
第23回富山県作業療法学会 ウェルビーイングと作業療法 ~自分らしく生きることを支援する~
令和8年3月1日(日)、富山県民会館にて第23回富山県作業療法学会を開催致します。本学会のテーマは「ウェルビーイングと作業療法」です。富山県では一人ひとりが、様々な人や社会との”つながり”の中で、日々、”自分らしく”生きていることに満足でき、心豊かに、幸せをずっと実感できることを目指し、このウェルビーイングを成長戦略の指標としています。私自身、臨床で対象者の生活を支援する難しさを知りながら、養成校の教員として学生に、機能訓練偏重の介入ではなく、自分らしく生きることを支援するのが作業療法であると指導してきました。おそらく多くの作業療法士が日々苦悩し、葛藤していることではないかと思います。
そこで今回は各分野で”つながり”や”自分らしく”を実践しておられる先生方にお声かけさせていただきました。特別講演では千里リハビリテーション病院副院長の中村春基先生を講師として迎え、「地域共生社会・インクルーシブ社会における作業療法士の役割」についてお話していただく予定です。またシンポジウムでは社会作業療法士協会理事長の大嶋伸雄先生を講師として迎え 「 ウェルビーイング向上のために作業療法士ができること」についてお話しいただく他、行政の方や富山県作業療法士会会長を交え、皆様からの疑問に答え、富山の未来を考える時間を設けておりますので、ぜひ活発な討論をお願いします。
さらに教育講座として新潟リハビリテーション大学の丁子雄希先生に「学会発表・論文投稿」について講演していただく予定です。敢えてウェルビーイングというテーマの学会で学術分野の講座を設けたのは、目に見えにくい作業療法の介入効果を可視化していくことの重要性を感じたからです。令和6年度の診療報酬改定で、疾患別リハビリテーション料の実施者別区分が創設され、実施者ごとのリハビリテーション提供実態が把握可能となりました。これは今後作業療法士が“自分らしく生きることの支援”をエビデンスとして示していくことが求められているのではないでしょうか。また今回、学会前研修会として丁子先生には、若手作業療法士を対象に「学会参加・発表のイロハ」というテーマでご指導していただきます。富山県の作業療法の未来を担う若手に多数の参加・発表をしてもらいたいと願い企画しました。昨年度同様新人発表枠も設けますので、是非とも積極的に参加していただき、前向き・建設的な討議をお願いいたします。もちろん口述、ポスター発表共に、若手だけでなく多種多様な年代・分野の先生方の演題登録も期待しています。
また、本学会では講演・発表に加え訪問型シニアビューティサロン-Relaught ( リラフト)-の高橋香織先生による、高齢者に対する介護美容の可能性についての技術講座を企画しました。美容の力で高齢者を笑顔にするコツを教授していただく予定です。本講義では技術を学ぶだけでなく、地域で活躍する新しい作業療法士の形を学ぶことができるのではないかと思います。
その他、多くの方に参加していただけるよう、様々な企画を考えておりますのでご期待ください。”つながり”や”自分らしく”を対象者に実践するには、まず作業療法士自身がウェルビーイングを獲得している必要があると思います。ぜひ学会参加を通じて、作業療法士同士のつながりを持ち、自分らしい作業療法を展開できるヒントを持ち帰っていただければと思います。
最後に学会長に選任して頂いた富山県作業療法士会、運営システムを構築され引き継いでくださった、第22回富山県作業療法学会運営委員の皆様に心より感謝申し上げます。